【Case9】酒販免許は必要?―ガラス工芸作家が手掛ける「世界で一つのワインギフト」

ワインボトルにエッチングを施す工芸作家
目次

〈Case9〉相談者プロフィール:エミさん(仮名)

  • 年齢:43歳
  • 職業:ガラス工芸作家・小さな工房の経営者
  • 家族:夫と二人暮らし
  • 仕事内容:表札や記念品、ガラス製品の制作・販売
  • 得意分野:ガラスエッチング、名入れギフトのデザイン
  • 販売方法:ホームページやSNSを通じた受注販売
  • 悩み:季節によって受注に波があり、収入の柱をもう一つ作りたい

きっかけは、友人から頼まれた一本のワイン

もともとエミさんは、ガラス工房を営み、表札やフォトフレーム、記念品などの制作を手がけています。

ある日、結婚祝いの贈り物として、持ち込まれたワインボトルに名前やメッセージを彫刻してほしいと頼まれました。

完成したボトルは、贈った相手にも大変喜ばれました。

エミさん

こんなに喜んでもらえるとは思わなかった

その後、口コミで「退職祝いに」「新築祝いに」「お店の開店祝いに」と、少しずつ同じような依頼が舞い込むようになりました。

ふと思いついて、エミさんはインターネットで他の工房を調べてみました。

すると、ガラス工房やエッチング工房の中には、「世界で一つだけのオリジナルギフト」として、名入れしたワインやシャンパンを全国へ販売している会社が数多くあることを知ります。

エミさん

もともとの仕事で培ってきた技術を生かして、ワインや日本酒のボトルのエッチングを新しい事業として育てられないかな・・・

そんな思いが、少しずつ芽生えてきました。

自分が納得いく作品にするために、ボトルの色や形にもこだわりたい

もっとも、エミさん自身はワインやお酒のことはあまりよく知りません。

むしろ、こうした彫刻を施すうえで重視したいのは、彫刻が美しく映えるボトルの色や形です。

深いブルーのスパークリングワイン、重厚感のある黒いボトル、シンプルで洗練されたシャンパンボトル――。

こうなると、ワインを売るというよりも、特別な記念日を彩る「作品」を届ける感覚に近いのかもしれません。

今は、お客さんが購入して持ち込まれるボトルに彫刻を施しているため、デザイン的にも制約がありますが、自分でボトルの仕入れからできれば、もっと納得のいく作品を作れそうです。

ただ、一つ気になることがありました。

エミさん

業務用としてワインを仕入れられるのかな?
ボトルに加工して販売しても問題ないのかな?

ここからは、エミさんと一緒に確認してみましょう

エミさん

お客さまが持ち込んだボトルに加工するのは問題ないと思っていますが、自分で仕入れてワインを販売する場合は、酒販免許は必要ですか?

🍷行政書士

持ち込まれたワインボトルに彫刻するだけであれば、ガラスの加工サービスですので、基本的には酒販免許は必要ありません。

ただ、エミさんご自身がワインを仕入れて、エッチングを施して販売する場合は、酒類の販売にあたります。

エミさん

自分が用意したワインボトルだと、酒販免許が必要になるんだ・・・

エミさんは、少し意外に感じました。

もともと扱っていたのは、ガラス製品や記念品で、今回もその延長線上の仕事です。
デザインや加工の技術と、これまで運営してきた自社販売サイトも生かせる仕事ぐらいの感覚でした。

🍷行政書士

インターネットで全国から注文を受けるおつもりでしたら、「通信販売酒類小売業免許」を検討することになります。

エミさん

私、ワインやお酒に関する知識はほとんどないですけど、それでも大丈夫でしょうか?

🍷行政書士

ワインやお酒について詳しいこと自体が、酒販免許取得の条件になっているわけではありません。

ただし、酒類販売を継続して行うための知識や能力、資金面など、酒販免許の要件を満たしているかは確認されます。

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まとめ:ワインを作品に変える仕事と酒販免許

持ち込まれたボトルに彫刻を施すだけであれば、あくまでガラス工房としての加工サービスにとどまるため、酒販免許は必要ありません。

一方で、エミさん自身がワインやお酒を仕入れて、エッチングを施して販売する場合は、酒類販売にあたり、酒販免許を取得する必要があります。

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今回のように、自社販売サイトを通じて全国から注文を受け付けるのであれば、免許の種類は「通信販売酒類小売業免許」になります。

さらに、酒類をネット販売する場合には、20歳未満の者の飲酒防止に関する表示や、酒類販売管理者に関する表示など、通信販売に必要な表示にも対応する必要があります。

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就職祝い、結婚祝い、退職祝い、新築祝い、還暦祝い――。

贈り物として届けたいという思いから始まった仕事であっても、中身がお酒である以上、酒税法のルールを避けることはできません。

もっとも、これまでお酒の販売と無縁だったからといって、それだけで酒販免許を取得できないわけではありません。これまでの経験や、これからどのような形で酒類販売を行うのかを整理し、必要な要件を一つずつ確認していくことが大切です。

ワインやお酒の専門知識がなくとも、自分の技術やアイデアで、ワインやお酒に付加価値を加えて販売する人は、立派な酒類販売業者です。

ガラス工芸やデザイン、ギフト制作など、これまで培ってきた技術が、思いがけず酒販ビジネスにつながることもあります。

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会社員、飲食店、子育て世代、定年後─それぞれの立場から、ワインビジネスを考えるケース集です。


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当事務所では、ワインの輸入・流通に携わってきた行政書士が、販売方法や仕入れ、物流などを伺いながら、実際の事業を見据えた免許申請をサポートします。申請を準備する過程が、これから始める事業を整理する機会になるよう、一緒に考えていきます。


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この記事を書いた人

横浜の酒類販売業免許専門の行政書士。
「桜並木行政書士オフィス」を運営。
20年以上にわたり、ワインインポーターで輸入貿易実務や販促・企画業務などを経験。現場経験と法律の両面からワインビジネスをサポートします。

■保有資格
J.S.A.ソムリエ
WSET® Level 3 Award in Wines

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