【Case14】インポーターから独立して自分のワインビジネスを―酒販免許は何が必要?

イタリアワイン担当営業が現地の生産者を訪問しているところ
目次

〈Case14〉相談者プロフィール:ユタカさん(仮名)

  • 年齢:51歳
  • 家族:妻と大学4年生の娘(来年就職予定)
  • 職業:ワインインポーター勤務(27年)
  • 担当:イタリアワイン営業(レストラン営業チーム責任者)
  • 趣味:イタリア旅行、レストラン巡り
  • 夢:自分が本当に良いと思うイタリアワインを、日本の飲食店へ届けること

独立後に考えているワインビジネス

来年には娘も社会人。

親としての大きな役目も、ひと区切りです。

今の仕事を早期退職したら数か月かけてイタリア各地をゆっくり巡りたい。

そして帰国したら、まだ日本市場で知られていない魅力ある生産者を集めて、自分のやり方で売っていきたい。

ユタカさん

小さくてもいいから、自分が心から良いと思えるワインだけを扱う会社を立ち上げたいな・・・

考えている事業はシンプルです。

自ら輸入したワインを、旧知のお客様、

  • イタリアンレストラン
  • ビストロ
  • ワインバー

などへ販売すること。

さらに、一般のイタリアワイン愛好家のお客様にも直接買ってもらえるよう、ゆくゆくはECショップも運営したいと考えています。

必要な酒販免許は何だろう?

ある日、独立後にやるべきことを整理していて、ふと気になりました。

ユタカさん

自分の場合は、酒販免許は何を取得しないといけないんだろう?

ユタカさん

輸入するから輸入卸の免許かな?

ここからは、ユタカさんと一緒に確認してみましょう

ユタカさん

イタリアの生産者からワインを直輸入して飲食店に卸そうと思っています。この場合は「輸入酒類卸売業免許」ですよね?

🍷行政書士

結論から言うと、飲食店に販売するには、「一般酒類小売業免許」が必要です。

飲食店への販売は、業界では「業務卸」と呼ばれることがありますが、酒税法上は「小売」として扱われます。

一方、酒販店へ販売する場合が「卸売」になります。

ユタカさん

そうなのですね。
とすると、自分の場合は輸入もするから「輸入酒類卸売業免許」も別に必要になりますか?

🍷行政書士

直輸入して一般のお客様や飲食店に販売するということなら、「一般酒類小売業免許」で対応できます。

ただ、輸入したワインを酒販店にも販売される予定なら、「輸入酒類卸売業免許」が必要になります。

ユタカさん

なるほど。
今のところ、酒販店への販売は考えていませんが、飲食店によっては、取引先の酒販店(帳合)を通して納品してほしいと言われることもありますよね。
その場合も考えると「輸入酒類卸売業免許」も取っておいた方がよさそうですね・・・

ユタカさん

あとは、個人のお客さんにECショップを通じて販売することも考えているので、「通信販売酒類小売業免許」も一緒に申請したいです。

🍷行政書士

分かりました。
ここまでの話を整理すると、次の3種類の酒販免許が必要になります。

  • ワインの直輸入と、飲食店への販売のために「一般酒類小売業免許」
  • 自社直輸入ワインを、飲食店が「帳合」を通じて取引したいという場合のために「輸入酒類卸売業免許」
  • ECショップ運営のために、「通信販売酒類小売業免許」
🍷行政書士

これを踏まえたうえで、一つ確認しておきたいのですが、直輸入以外に、国内の他社から仕入れする可能性はないですか?

例えば、今勤務されているインポーターの商品を国内仕入れするとか・・・?

ユタカさん

まだ分かりませんが、できればそれもやりたいと思っています。
良い商品がいっぱいあるので。

「輸入酒類卸売業免許」と「洋酒卸売業免許」の違い

🍷行政書士

それでしたら、②の卸売免許を、「輸入酒類卸売業免許」ではなく「洋酒卸売業免許」にしましょう。

先ほどもご説明しましたが、輸入自体は、「一般酒類小売業免許」でもできます。

「輸入酒類卸売業免許」は、自社が輸入したワインを卸売するときに必要な免許ですが、国内の他社から仕入れたワインを、この免許で卸売することはできません。

その場合は、「洋酒卸売業免許」など、取り扱う酒類に応じた卸売業免許が必要になります。

ユタカさん

つまり、自分の場合はこういうことですね?

  • ワインの直輸入と、飲食店への販売のために「一般酒類小売業免許」
  • 国内他社から仕入れたワインを酒販店(帳合)へ販売するための「洋酒卸売業免許」
  • ECショップ運営のために、「通信販売酒類小売業免許」
🍷行政書士

そうです!
この3種類を取得できれば、今お考えの取引には対応できることになります。

酒販免許は名前だけを見ると、輸入するなら輸入酒類卸売業免許」と思ってしまいがちです。

しかし、実際には「誰に販売するか」「どこから仕入れるか」によって必要な免許が変わります。

まとめ:酒販免許は「輸入するか」ではなく、「誰に、どこから仕入れて売るか」で決まる

今回のユタカさんのケースでは、「海外からワインを輸入するなら、輸入酒類卸売業免許が必要では?」という疑問からスタートしました。

しかし実際には、自ら輸入したワインを飲食店や一般のお客様へ販売するだけであれば、「一般酒類小売業免許」で対応できます。

一方、酒販店へ卸売する場合や、国内の他社から仕入れたワインを酒販店へ販売する場合には、取り扱う商品や仕入れ方法に応じて、「輸入酒類卸売業免許」や「洋酒卸売業免許」が必要になります。


※ なお、今回のユタカさんのように長年ワインインポーターで営業や商品管理に携わってきたケースでは、酒類業界での経験という点では大きな問題にはなりにくいと考えられますが、洋酒卸売業免許は、輸入酒類卸売業免許とは取得要件が異なります。

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当事務所では、ワインの輸入・流通に携わってきた行政書士が、販売方法や仕入れ、物流などを伺いながら、実際の事業を見据えた免許申請をサポートします。申請を準備する過程が、これから始める事業を整理する機会になるよう、一緒に考えていきます。


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この記事を書いた人

横浜の酒類販売業免許専門の行政書士。
「桜並木行政書士オフィス」を運営。
20年以上にわたり、ワインインポーターで輸入貿易実務や販促・企画業務などを経験。現場経験と法律の両面からワインビジネスをサポートします。

■保有資格
J.S.A.ソムリエ
WSET® Level 3 Award in Wines

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