【ワインショップ開業】「コンセプト設計から始めよう」― どんなお店にする?―

ワインボトルが並ぶワインショップの内観
目次

はじめに:ワインショップを開きたい。まず何から考える?

「いつか自分のワインショップを開いてみたい。」

ワインが好きな方なら、一度はそんなことを考えたことがあるかもしれません。

では、実際に開業しようと思ったら、何から考えればよいのでしょうか。

「どんなワインを並べよう」

「店内はどんな雰囲気にしよう」

そんなことを考えるのは楽しいものですが、ワインショップのコンセプトは、お店の品揃えや内装だけで決まるものではありません。

たとえば、

  • 実店舗を構えるのか、ECショップから始めるのか
  • どのようなお客様に販売するのか
  • 輸入ワインを中心にするのか、日本ワインも扱うのか
  • インポーターや卸売業者から仕入れるのか、自社で輸入するのか
  • 店頭販売だけでなく、ECや飲食店向けの販売も行うのか
  • 店内でワインを飲めるスペースを設けるのか

こうした選択によって、必要な資金も、販売場所も、仕入先も、在庫の持ち方も、必要となる酒販免許も変わってきます。

つまり、ワインショップの「コンセプトを考える」とは、単におしゃれなお店のイメージをつくることではなく、

「誰に、どんなワインを、どこで、どのように売るのか」

という、これから始めるワインビジネスの輪郭を描いていくことでもあります。

この記事では、ワインショップを開業するときに最初に考えておきたいことを整理します。

それぞれのテーマについて詳しく解説した記事もご紹介しますので、気になるところから開業イメージを膨らませてみてください。

1. まず「どこで、どう売るか」を考える

一言でワインショップといっても、営業スタイルはさまざまです。

たとえば、

  • 実店舗で販売する
  • 自宅などを販売場としてECを中心に販売する
  • 実店舗とECを組み合わせる
  • 店頭販売に加えて近隣へ配達する
  • 店内にワインを飲めるスペースを設ける

といった形が考えられます。

実店舗であれば、お客様と直接会話をしながらワインを提案できる一方、物件取得費や内装、什器、在庫などの費用がかかります。

ECショップなら店舗を持たずに小さく始めることもできますが、商品をどのように知ってもらうのか、どこで在庫を保管し、どこから発送するのかといった別の課題があります。

また、同じ実店舗でも、駅前で幅広いお客様を対象にする店と、住宅街で地域のお客様を中心にする店とでは、品揃えや価格帯、必要な在庫も変わるでしょう。

「どこで売るか」と「どう売るか」は、その後の開業準備全体に関わる最初の分岐点です。

あわせて読みたい

2. 「誰に売るか」で、お店の形が変わる

次に考えたいのが、どのようなお客様にワインを届けたいのかということです。

たとえば、

「近所の方が夕食に合わせるワインを気軽に買える店」と、

「希少な産地やヴィンテージを探しているワイン愛好家が全国から注文するECショップ」

では、同じワインショップでも、品揃えも価格帯も販売方法も大きく異なります。

一般のお客様だけでなく、近隣のレストランやワインバーなどを販売先として考える方法もあります。

飲食店に販売するというと「卸売」と思われるかもしれませんが、飲食店が店内で提供するための酒類を販売する場合は、小売に当たります。

最初からすべての顧客像を一つに絞り込む必要はありません。

ただ、「どんな人が、どんな場面で、この店のワインを買うのか」を具体的に想像してみると、扱いたい商品や販売方法も見えやすくなります。

あわせて読みたい

3. 「何を売るか」と「どこから仕入れるか」はセットで考える

ワインショップを開きたい方にとって、一番楽しいのは品揃えを考える時間かもしれません。

フランスやイタリアなどの伝統国を中心にするのか。

ニューワールド、日本ワイン、自然派ワイン、泡、熟成ワインなど、何か得意分野を持つのか。


あるいは、産地や品種にこだわりすぎず、日常の食卓で楽しめるワインを店主の視点で選ぶのか。

考え方はさまざまです。

ただし、「何を売るか」を考えることは、「どこから仕入れるか」を考えることでもあります。

国内のインポーターから直接仕入れる方法もあれば、酒類卸売業者から仕入れる方法、日本のワイナリーと取引する方法もあります。

さらに、自分で海外のワイナリーから輸入するという選択肢もあります。

仕入方法によって、取引条件や必要な在庫、物流の仕組みも変わりますし、自社輸入して酒販店などへ販売するのであれば、小売とは別の酒販免許も検討することになります。

あわせて読みたい

4.小さなワインショップだからこそ、「何で選ばれるか」を考える

もちろん、「安くておいしいワイン」を扱うことも一つのコンセプトです。

ただ、小規模なワインショップが、価格だけで大手スーパーや大手ECサイトと競争するのは簡単ではありません。

そこで考えたいのが、

  • 特定の産地やカテゴリーへの専門性
  • 造り手や栽培・醸造について伝えられること
  • 他ではあまり見かけないワイン
  • インポーターや生産者とのつながり
  • 店主自身の選定眼や提案力
  • ワインの保管状態への信頼
  • 料理や好みに合わせた提案

など、価格以外の価値です。

ワインは、同じ価格帯でも産地や品種、造り手によって個性があります。

「この店に相談すれば、自分の好みに合うものを選んでもらえる」

「この店に来ると、知らなかったワインに出会える」

そんな経験も、小さなワインショップがお客様に提供できる価値の一つでしょう。

「どんなワインを売るか」だけでなく、「この店だからこそ、何を届けられるのか」。

そこまで考えると、コンセプトが少しずつ具体的になってきます。

あわせて読みたい

5.コンセプトと開業資金は切り離して考えられない

理想のお店を考えることと、現実的な資金計画を立てることもセットです。

実店舗を構えるなら、物件取得費や内装費、什器、ワインセラーなどが必要になります。

EC中心で小さく始める場合でも、初期在庫、梱包資材、ECサイト、保管・発送環境などの準備が必要です。

また、ワインは仕入れてから売上になるまで在庫として資金が寝る商品でもあります。
最初から品揃えを広げすぎれば、その分だけ必要な資金も増えていきます。

「どんな店にしたいか」だけでなく、「どのくらいの規模なら、無理なく始めて続けられるか」という視点からコンセプトを見直すことも大切です。

あわせて読みたい

6.実店舗なら、売場だけでなく「裏側」も考える

実店舗を考えている場合、店頭にどのようなワインを並べるかだけでなく、実際に商品がどう動くのかも考えておきたいところです。

  • ワインが入荷したら、どこで検品するのか。
  • 店頭に出しきれない在庫はどこに置くのか。
  • ECも行うなら、どこで梱包・発送するのか。
  • 予約品や取り置き商品、空箱や緩衝材はどこに置くのか。

こうしたバックヤードや物流動線は、実際に営業を始めてからの作業効率に大きく関わります。

角打ちなど、店内でワインを飲めるスペースを設けるのであれば、物販だけのワインショップとは別の検討も必要になります。

お客様から見える売場と、日々の仕事を支える裏側。その両方を考えて初めて、実際に動く店舗になります。

あわせて読みたい

7.販売方法が決まると、必要な酒販免許も見えてくる

そして、ワインショップを開業するうえで欠かせないのが、酒類販売業免許です。

ただし、必要な免許は「ワインショップだから一律にこれ」と決まるわけではありません。

たとえば、実店舗で一般のお客様にワインを販売する場合と、インターネットを利用して広い地域のお客様に通信販売する場合では、必要となる免許が異なります。

また、自社で輸入したワインを他の酒販店へ販売するのであれば、卸売業免許についても検討することになります。

つまり、先に考えてきた、「どこで、誰に、何を、どのように売るのか」が決まってくると、必要となる酒販免許も見えてきます。

酒販免許から事業を考えるのではなく、やりたい事業を具体化した結果として、必要な免許を確認するという順番で考えると分かりやすいでしょう。

どんな店にしたいかが見えてきたら、次はそのコンセプトを売上や仕入れ、経費などの数字に置き換えてみます。

まとめ:コンセプトは、その後の開業準備の「軸」になる

ワインショップのコンセプトを考えるというと、品揃えや店内の雰囲気を決めることをイメージしがちです。

しかし実際には、誰に、何を、どこで、どのように売るのか。

これを一つずつ考えていくことが、ワインショップのコンセプト設計です。

そして、その答えは、販売場所、仕入先、必要な資金、在庫、物流、販売方法、酒販免許など、その後の開業準備すべてにつながっていきます。

もちろん、最初から完璧な事業計画を作る必要はありません。

まずは「こんなお店をやってみたい」というイメージから始めて、実際に調べたり、仕入先を探したり、物件や資金を検討したりしながら、少しずつ具体化していけばよいでしょう。

酒類販売業免許の申請でも、販売場の状況だけでなく、事業の概要、収支の見込み、必要な資金とその調達方法などを整理していきます。

免許を取るためだけに事業計画を考えるのではなく、免許申請の準備そのものを、これから始めるワインビジネスを整理する機会にする。

そう考えると、最初に描いた「こんなワインショップを開きたい」というイメージと、酒販免許の申請準備は、一本の線でつながってきます。

もっとワインショップ開業について知りたい方はこちら

ワインショップを開業したい方に向けて、開業準備から仕入れ、販売、集客までを順番に解説しています。


酒類販売業免許の申請では、必要書類の収集や申請書類の作成に加え、販売場や事業計画など、申請内容に応じた準備が必要です。

当事務所では、ワインの輸入・流通に携わってきた行政書士が、販売方法や仕入れ、物流などを伺いながら、実際の事業を見据えた免許申請をサポートします。申請を準備する過程が、これから始める事業を整理する機会になるよう、一緒に考えていきます。


\まずはお気軽にお問合せください/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

横浜の酒類販売業免許専門の行政書士。
「桜並木行政書士オフィス」を運営。
20年以上にわたり、ワイン輸入会社で輸入貿易実務や販促・企画業務などを経験。現場経験と法律の両面から酒販免許取得をサポートします。

■保有資格
J.S.A.ソムリエ
WSET® Level 3 Award in Wines

⇩ 事務所の詳細はこちらから

目次