〈Case10〉相談者プロフィール:タクミさん(仮名)
- 年齢: 47歳
- 職業: アウトドアショップチェーン企画部(勤続19年)
- 取扱商品: キャンプ用品・登山用品・アウトドアウェア
- 趣味: キャンプ、釣り、焚き火
- ヴィジョン: 新しいキャンプの楽しみ方を提案し、自社のブランド価値を高めたい
- やりたいこと: キャンプイベントで参加者に自社ロゴ入りオリジナル缶ワインをプレゼントしたい
オリジナル缶ワインを作りたい
最近では、国内のワイナリーでOEM(オリジナルブランド)のワイン製造を受け付けるところも増えてきました。
既存のワインにオリジナルラベルを貼るものから、缶ワインやオリジナルブレンドまで、比較的小ロットから対応しているワイナリーもあります。
そのため、飲食店や酒販店だけでなく、お祭りやイベント、レジャー施設や一般の会社までもが、オリジナルブランドのワインを企画するケースが増えてきています。
タクミさんキャンプに気軽に持っていける缶ワインをOEM(オリジナルブランド)で作ったら面白いかも。
OEMは「自己商標酒類卸売業免許」が必要?
例年、キャンプイベントの参加者特典として自社ブランドのロゴ入りグッズを企画しているタクミさん。
今年は、今後の新たな事業展開も想定し、キャンプの新しい楽しみ方を提案するために、OEMでロゴ入りオリジナル缶ワインを作ろうと考えています。
ネットで調べたところ、「お酒を扱う場合は酒販免許が必要かもしれない」と書いてありました。そこで、まずは専門の行政書士に聞いてみることにしました。



今度、缶ワインをOEMで作ろうと思ってネットで調べたら、「自己商標酒類卸売業免許」というものが出てきました。
OEMの場合は、まずこれを取らないといけないのでしょうか?



いいえ、結論から言うと今回のケースで「自己商標」の免許を取る必要はありません。
自己商標酒類卸売業免許は、自社ブランドの酒類を酒販店やスーパーなど「他の酒類販売業者」へ卸売する場合に必要な免許だからです。
ちなみに、そのオリジナルワインはどのような場面で使う予定ですか?



まずは毎年恒例のキャンプイベントで、お客さんに無料で配ろうかと思っています。



今「販売」ではなく「配る」とおっしゃいましたね。
そのワインを無償で配布(ノベルティ・プレゼント)するのであれば、原則として酒類販売業免許自体が不要です。
ただ、その場合でも、お酒を扱う以上、確認しておきたい点があります。
ここからは、タクミさんと一緒に確認してみましょう
ここで注意したいのは、「無料だから大丈夫」と一概には言えない場合があることです。
例えば、
- 有料キャンプイベントの参加特典として配る
- 自社商品を購入してくれた人だけにプレゼントする
- イベント参加費の中に、実質的にワイン代が含まれている
このようなケースでは、実質的に「お酒を販売している」と評価される可能性がないか、慎重に考える必要があります。
酒税法上、明確に判断できるケースもありますが、企画の内容によっては判断が分かれる場合もあります。



こうした境界線が微妙で判断に迷うケースは、企画内容を具体的に整理したうえで、事前に所轄の税務署へ確認しておくことをおすすめします。
考えるのは、酒販免許のことだけではありません
OEMワインを企画する際には、「酒販免許が必要かどうか」だけではありません。
お酒は一般の商品とは異なり、さまざまなルールや配慮が求められます。
- 20歳未満の方へ提供しないこと
- 飲酒運転につながらないよう配慮すること(現場提供か持ち帰りか)
- 妊娠中・授乳中の飲酒について適切な注意喚起を行うこと
- 酒類として適切な表示を行うこと
- イベント会場や施設の利用規約を確認すること
さらに、酒販免許の問題とは別に、「景品表示法」という別の法律も関係してきます。
例えば、「商品購入者だけにプレゼントする」というケースでは、景品表示法にも注意が必要です。
商品の購入を条件に景品を提供する場合、取引に付随して提供できる景品類の総額には上限が定められており、お酒であっても例外ではありません。
酒販免許の問題がクリアになったとしても、こうしたルールに抵触する可能性も含めて、あわせて確認しておくことが大切です。
また、キャンプイベントであれば車で来場する参加者も少なくありません。
「その場で飲んでもらうのか」「自宅へ持ち帰ってもらうのか」「対象者が20歳以上であることをどう確認するか」といった点も、お酒を扱う事業者として事前に考えておきたいポイントです。



オリジナル缶ワインを作ることばかり考えていましたが、お酒を扱う以上、いろいろ気を付けることがあるんですね。



はい。OEMはブランドづくりとして非常に魅力的ですが、お酒は一般的なノベルティとは少し違います。
だからこそ、企画の段階から一つひとつ確認しながら進めることが大切なんです。
まとめ:オリジナルワインを作る前に知っておきたいこと
近年では、小ロットからオリジナルワインを製造できるワイナリーも増え、OEMは身近な選択肢になっています。
「販売ではなく配布だから大丈夫」と思っていても、イベントの立て付けや提供方法により考え方が変わる場合があります。
また、購入を条件にプレゼントする形式であれば、「景品表示法」の観点でのチェックも欠かせません。そのため、判断に迷うケースでは自己判断せず、事前に税務署や専門家に確認しておくことが安心につながります。
今回は、キャンプイベントでの無償配布を前提に考えてきましたが、将来的に店舗やECサイトで販売する場合は、販売方法に応じた酒類販売業免許が必要になります。
お酒は一般の商品とは異なり、酒税法をはじめ、未成年者飲酒防止や飲酒運転防止など、さまざまなルールや社会的責任が伴う商品です。
企画段階で制度を正しく理解し、一つひとつ確認しながら進めることが、安心して長く続けられる、信頼できるブランドづくりへの第一歩と言えるでしょう。
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