【Case15・第1話】友人と二人でワイン通販を始めたい―酒販免許はどちらが取る?〈会社設立編〉

中学の同級生の46歳女性が二人で楽しく食事しているイメージ
目次

〈Case15-①〉相談者プロフィール:アキさん・リエさん(仮名)

アキさん

・46歳、メーカー勤務(事務職)
・事務やWeb作業が得意
・実家は元洋食店で、現在は父が弁当・惣菜の販売を続けている
・かつての客席スペースは、現在ほぼ物置になっている
・土日休み

リエさん

・46歳、中学時代からのアキさんの友人
・飲食店勤務
・ソムリエ資格あり
・ワインの商品知識や飲食業界での経験がある
・土日は仕事だが、平日に休みを取れることが多い

二人の計画

・本業を続けながら、副業でワインのネット販売を始めたい
・資金は二人で出す予定
・商品選定や仕入れはリエさん、Webや事務はアキさんが中心
・販売場は、アキさんの親が所有する元洋食店の客席スペースを使う予定

「副業って言われても、何をすればいいんだろう?」

アキさんとリエさんは、中学時代からの友人です。

ある日、久しぶりに二人で食事をしていたときのこと。

最近の仕事やこれからの生活について、こんな話になりました。

アキさん

うちの会社、最近、副業始めたって人の話をちらほら聞くよ。
先行き分からない時代だからムリもないよね~

私も何かしてみたいけど、全然思いつかないわ・・・

リエさん

え~? だったら私と一緒にワイン通販ビジネスやらない?
私のワインの知識とアキのパソコンスキルあったら、上手くいきそうな気がするけど?(笑)

アキさん

それいいかもね!
一人だと自信ないけど、二人だったらなんかできそうな気がする~♪

リエさん

私、今の店でワインの発注もしてるから、酒屋やインポーター知ってるし、仕入れの方は任せて!

アキさん

場所なら、うちに使えそうなところがあるよ。

父が昔、洋食店をやってたところ。
今は規模を縮小して、昔から人気だったハンバーグやコロッケなんかを使ったお弁当やお惣菜を売ってるんだけど、以前の客席スペースがほとんど物置になってるの。

リエさん

じゃあ、そこを拠点にして、ワイン通販できるんじゃない?

二人の仕事を組み合わせると、意外と相性がいい?

リエさん

私、お休みはだいたい平日だし、仕事の日もそんな早い時間から行かないから、平日の注文確認や発送は私ができるよ。

アキさん

じゃあ私は、平日夜や土日にECショップの更新と事務作業するね!

ワインを選べる人もいる。

Webを扱える人もいる。


ワインを置く場所もある。


二人の休みも、うまい具合にずれている。

雑談から何となく始まった話が、少しずつ具体的になってきました。

リエさん

酒販免許は私が取ればいいよね?

ワインを販売するには酒類販売業免許が必要です。

二人が考えているのは、インターネットでお客さんから注文を受けて、ワインを発送する販売方法。

そこで二人は、通信販売酒類小売業免許について行政書士に相談することにしました。

ここからは、アキさん・リエさんと一緒に確認してみましょう

リエさん

酒販免許は、ソムリエ資格のある私が取ろうと思っています。
仕入れも私が中心になると思うので。

🍷行政書士

ソムリエとしての知識や経験は、ワインを扱う事業ではもちろん活かせます。

ただ、ソムリエ資格があるから酒販免許を取りやすい、というわけではないんです。

リエさん

そうなんですか?

🍷行政書士

酒類についての知識だけでなく、酒類販売業を適切に経営するための知識や能力があるかどうかも確認されます。

通信販売なら、実際に通販事業をどう運営していくのかも考える必要があります。

リエさん

通販の運営ですか?

🍷行政書士

はい。
ちなみに、ECショップの管理や受注、売上の管理などは、お二人のどなたが担当される予定ですか?

アキさん

それは私です。
会社でもホームページの更新をしていますし、事務や売上管理は私の方が得意だと思います。

🍷行政書士

なるほど。
ちなみに販売場はもう決められていますか?

アキさん

私の実家です。
昔、お店をやっていたスペースが空いていて。
ただ、その建物は親のものです。


話を聞いていくと、リエさんだけでなく、アキさんもこの通販事業のかなり重要な部分を担うことが分かってきました。

だったら、アキさんが免許を取る?

リエさん

……ということは、アキが免許を取った方がいいんですか?
販売場のこともあるし。

🍷行政書士

いえ、これは単に「どちらが向いている」という話ではないんです。

ちなみに、ワインの仕入れのためのお金は、どうされるご予定ですか?

アキさん

二人で出し合う予定です。
半分ずつくらいかなって。

リエさん

利益も、二人で分けるつもりです。

二人で半分ずつ出資して始めるので、免許も二人の共同名義にできますか?

🍷行政書士

酒販免許の申請では、誰が酒類販売業を営むのか、申請者となる事業主体を決める必要があります。

個人で申請するのであれば、申請者となるのはその個人です。

リエさん

じゃあ、二人の名前で、一つの免許を取るということはできないってことですか?

🍷行政書士

個人申請の場合、二人の個人の共同名義で一つの酒販免許を受けることはできないですね。

アキさん

そうすると、どちらか一人が免許を取ることになる?

🍷行政書士

個人で始めるのであれば、まずそこを決める必要があります。

ただお二人の場合、単に『どちらの名前で申請するか』だけ決めれば済む話でもなさそうですね。

リエさん

というと?

🍷行政書士

お二人は、資金も、仕事も、利益も、対等に二人で分け合うご予定で、経営についても二人で決める予定ですよね?

アキさん

はい。二人のワインショップなので。

🍷行政書士

とすると、誰が免許を取るかを決める前に、お二人がどんな形でこの事業を一緒に経営するのかを整理した方がよさそうです。

二人で資金を出し、二人で仕事を分担し、二人で経営したい。

個人で酒販免許を申請するのであれば、まず「誰が酒類販売業を営むのか」を決める必要があります。

  • 酒販免許は誰が申請するのか。
  • 事業を始めるための資金は誰が出すのか。
  • 販売場の家賃はどうするのか。
  • 設備や仕入れの資金は誰が負担するのか。
  • 仕入れたワインは誰のものになるのか。
  • 売上や利益をどう分けるのか。
  • 経営上の意思決定をどうするのか。

「二人でやる」と一口に言っても、考えておくことは意外とたくさんあります。

次回からは、アキさんとリエさんが考えている「二人でワインショップを経営する」という形を、もう少し具体的に考えてみます。


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酒類販売業免許の申請では、必要書類の収集や申請書類の作成に加え、販売場や事業計画など、申請内容に応じた準備が必要です。

当事務所では、ワインの輸入・流通に携わってきた行政書士が、販売方法や仕入れ、物流などを伺いながら、実際の事業を見据えた免許申請をサポートします。申請を準備する過程が、これから始める事業を整理する機会になるよう、一緒に考えていきます。


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この記事を書いた人

横浜の酒類販売業免許専門の行政書士。
「桜並木行政書士オフィス」を運営。
20年以上にわたり、ワイン輸入会社で輸入貿易実務や販促・企画業務などを経験。現場経験と法律の両面から酒販免許取得をサポートします。

■保有資格
J.S.A.ソムリエ
WSET® Level 3 Award in Wines

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