【酒販免許】ネットでお酒を売るとき、ECサイトに何を表示する?―酒類通販の表示ルール

酒類ECサイトの表示イメージ
目次

はじめに―お酒のECサイトには、どんな表示が必要?

通信販売酒類小売業免許を取得して、インターネットでお酒を販売するときには、ECサイトにさまざまな表示が必要になります。

よく知られているのが「特定商取引法に基づく表記」です。

しかし、酒類を通信販売する場合には、それだけではありません。

20歳未満の者の飲酒を防止するための表示や年齢確認、酒類販売管理者に関する表示など、酒類を販売するからこそ必要になるルールがあります。

また、これらは免許を取得した後にECサイトを作るときだけの問題ではありません。

通信販売酒類小売業免許の申請段階でも、どのような表示を行い、どのように年齢を確認するのかが確認されます。

今回は、酒類のECサイトを作るときに知っておきたい表示のルールを、その目的や根拠とあわせて整理します。

酒類ECの表示には、目的の違ういくつかのルールがある

酒類のECサイトに必要な表示は、すべて同じ法律から出てくるものではありません。

大きく分けると、次のように整理できます。

  • 通信販売を行う事業者としての表示
    → 特定商取引法
  • 20歳未満の者の飲酒を防止するための表示・年齢確認
    → 酒類業組合法に基づく表示基準など
  • 酒類販売管理者に関する表示
    → 酒類業組合法・同法施行規則

たとえば、「誰が販売しているのか」「送料はいくらなのか」「返品はできるのか」といった情報は、酒類に限らず通信販売を利用する消費者に必要な情報です。

一方、「20歳未満の者には酒類を販売しない」という表示や年齢確認は、お酒という商品だからこそ必要になります。

まずは、これらを分けて考えてみましょう。

「特定商取引法に基づく表記」は酒類以外の通販にも共通するルール

インターネット通販には、酒類に限らず、特定商取引法によるルールがあります。

特定商取引法は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売など、消費者トラブルが生じやすい取引類型について、事業者が守るべきルールなどを定めた法律です。

通信販売では、販売者と購入者が対面せず、商品の内容や販売条件などを広告に掲載された情報から判断して取引を行います。

そのため特定商取引法では、消費者が「誰から、いくらで、どのような条件で買うのか」を確認できるよう、通信販売の広告について一定の事項を表示することを求めています。

代表的なものには、

  • 販売業者の氏名・名称
  • 住所
  • 電話番号
  • 販売価格
  • 送料など購入者が負担する費用
  • 代金の支払時期・方法
  • 商品の引渡時期
  • 返品・契約解除に関する事項

などがあります。

法人がインターネットで広告する場合には、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名も表示事項となります。

ECサイトでよく見かける「特定商取引法に基づく表記」のページは、こうした通信販売一般のルールに対応するためのものです。

ただし、サイト内にこのページを用意すれば、それだけでよいわけではありません。

2022年6月1日に施行された改正特定商取引法では、インターネット通販で注文を確定する前の「最終確認画面」についても、商品の分量、販売価格・送料、支払時期・方法、引渡時期など、一定の事項を消費者が確認できるよう表示することが求められています。

比較的新しく設けられた表示規制のため、こちらも確認して設計することが大切です。

また、返品や契約の解除についても、条件を明確に表示しておく必要があります。

通信販売には、訪問販売などに設けられているクーリング・オフ制度はありません。
返品できるかどうか、返品できる場合の条件や費用負担などについて、購入者が注文前に確認できるようにしておきましょう。

酒類通販では「20歳未満の者の飲酒防止」のための表示が必要

ここからは、酒類の通信販売に特有のルールです。

酒類業組合法に基づく「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」では、酒類を通信販売する場合について、20歳未満の者の飲酒を防止するための表示方法が定められています。

この表示には、単に注意書きを一か所掲載すればよいというものではなく、販売の場面に応じたルールがあります。

商品を掲載する画面

酒類に関する広告やカタログ、ECサイトなどには、

「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」
  または、
「20歳未満の者には酒類を販売しない」

旨を表示します。

インターネットの場合、通信販売の対象となる酒類が掲載されている画面等のすべてについて表示する必要があります。

また、表示する文字についても、酒類の価格表示に使用している文字以上の大きさで、明瞭に表示することとされています。

そのため、サイトのフッターなどに小さく一度だけ表示しておけばよい、というものではありません。

購入申込画面では年齢確認も必要

購入を申し込む画面では、20歳未満の者でないことを確認するための対応も必要です。

表示基準では、購入申込画面に申込者の年齢記載欄を設けることが求められています。

そして、その近くに、

「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」
   または、
「20歳未満の者には酒類を販売しない」

旨を表示します。

また、通信販売酒類小売業免許では、酒類の購入申込者が20歳未満の者でないことを確認できる手段を講ずることが求められています。

酒類を通信販売するときは、注意書きを表示するだけでなく、購入者の年齢を確認できる仕組みまで考えておく必要があります。

購入後の納品書等にも表示する

20歳未満の者の飲酒防止に関する表示は、商品ページや購入画面だけではありません。

酒類の購入者に交付する納品書等にも、

「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」

旨を表示します。

ここでいう納品書等には、インターネット等による通知も含まれます。

つまり、酒類通販の表示は、

商品を見てもらう段階
購入を申し込む段階
購入後

という販売の流れに沿って設けられていると考えると分かりやすいでしょう。

ECサイトにも「酒類販売管理者標識」の表示が必要

酒類小売業者は、販売場ごとに酒類販売管理者を選任し、酒類販売管理者標識を掲示する必要があります。

標識には、

  • 販売場の名称・所在地
  • 酒類販売管理者の氏名
  • 酒類販売管理研修の受講年月日
  • 次回研修の受講期限
  • 研修実施団体名

を記載します。

通常の店舗では、公衆の見やすい場所に標識を掲示します。

一方、通信販売を行う場合には、インターネットなど、公衆が閲覧できる方法によってこれらの事項を表示します。

そのため、実店舗を持たずECを中心に酒類を販売する場合であっても、酒類販売管理者に関する表示が不要になるわけではありません。

これらの表示は、免許申請時にも確認される

ECサイトの表示や年齢確認は、通信販売酒類小売業免許を取得した後に初めて考えるものではありません。

免許申請の段階から、酒類の通信販売に必要な表示が適切に行われるか、20歳未満の者でないことを確認できる仕組みになっているかなどが確認されます。

申請時には、通信販売における表示を明示したECサイト等のレイアウト図のほか、申込書や納品書などの案も提出します。

そのため、通信販売酒類小売業免許の申請準備と、ECサイトでどのように酒類を販売するのかという準備は、切り離して考えるものではありません。

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商品説明なら自由に書ける?―「オーガニック」などの表示にも注意

ECサイトでは、商品の特徴や魅力についてさまざまな説明を掲載します。

ただし、商品説明だからといって、どのような表現でも自由に使えるわけではありません。

たとえば、酒類の「有機」「オーガニック」などの表示には、有機JAS制度によるルールがあります。

商品の説明文を作るときにも、その表現について別の表示ルールがないか確認しておくことが大切です。

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まとめ―顔が見えない販売だからこそ、年齢確認の仕組みも考える

店頭で酒類を販売する場合には、販売する側がお客様と直接接することができます。

20歳未満と思われるお客様に対して、その場で年齢を確認したうえで販売することができます。

一方、通信販売では、注文を受けるときに購入者の顔を見ることができません。

そのため酒類の通信販売では、20歳未満の者に酒類を販売しないための注意喚起だけでなく、購入申込画面に年齢記載欄を設けるなど、年齢を確認するための仕組みが必要になります。

そして、こうした表示や年齢確認の方法は、ECサイトを公開するときだけの問題ではありません。

通信販売酒類小売業免許の申請段階でも、販売方法が「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」を満たしているか、購入申込者が20歳未満の者でないことを確認できる手段が講じられているかが確認されます。

顔の見えない相手にお酒を販売するからこそ、どのように20歳未満の者への販売を防ぐのか。その仕組みまで含めて準備することが、酒類の通信販売では大切です。


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酒類販売を始めたい方に向けて、酒販免許の種類や選び方、取得要件、申請手続きなどを分かりやすく解説しています。


酒類販売業免許の申請では、必要書類の収集や申請書類の作成に加え、販売場や事業計画など、申請内容に応じた準備が必要です。

当事務所では、ワインの輸入・流通に携わってきた行政書士が、販売方法や仕入れ、物流などを伺いながら、実際の事業を見据えた免許申請をサポートします。申請を準備する過程が、これから始める事業を整理する機会になるよう、一緒に考えていきます。


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この記事を書いた人

横浜の酒類販売業免許専門の行政書士。
「桜並木行政書士オフィス」を運営。
20年以上にわたり、ワインインポーターで輸入貿易実務や販促・企画業務などを経験。現場経験と法律の両面からワインビジネスをサポートします。

■保有資格
J.S.A.ソムリエ
WSET® Level 3 Award in Wines

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