はじめに
ワインの輸入準備では、通関や食品等輸入届出と並行して、日本国内で販売するための「輸入者ラベル」も準備します。
輸入者ラベルには、表示する内容だけでなく、文字の大きさや表示方法など細かな決まりがあります。
ラベル案を作成したら、酒類を引き取る保税地域を管轄する税関への「表示方法届出書」の提出も必要です。
今回は一般的な750mlのスティルワインを例に、輸入者ラベルを作成するときに確認しておきたい表示事項と、税関への届出までを整理します。
輸入ワインの輸入者ラベルに表示する内容
まず、一般的な輸入スティルワインで確認する主な表示事項を見てみましょう。
| 表示事項 | 表示例 |
| 品目 | 果実酒 |
| 内容量 | 750ml |
| アルコール分 | 12% |
| 原産国名 | フランス |
| 添加物 | 酸化防止剤(亜硫酸塩)など |
| 輸入者 | ○○株式会社 |
| 輸入者の住所 | 神奈川県横浜市○○…… |
| 引取先 | 神奈川県横浜市○○…… |
| 20歳未満飲酒防止表示 | 飲酒は20歳になってから など |
実際のラベルでは、内容量とアルコール分などを一行に並べたり、輸入者・引取先を下部にまとめたりと、限られたスペースの中でレイアウトします。
必要となる表示は商品によって異なります。上の表を一律のひな型とするのではなく、その商品に必要な表示事項を確認して作成することになります。
品目は酒税法上の区分で表示する
ワインが酒税法上の「果実酒」に該当する場合、品目は「果実酒」と表示します。
ここでいう「果実酒」は、酒税法上の品目です。海外ラベルの商品名や「Wine」「Vin」「Vino」といった表示ではなく、日本の酒税法上どの品目に該当するかを確認して表示します。
ただし、発泡性を有するワインのうち、アルコール分が11度未満のものについては、「果実酒(発泡性)」など、発泡性を有する旨を含めた表示が必要になります。
ここでいう「発泡性」は、スパークリングワインであることを示す商品説明とは別に、酒税法上の取扱いに応じて表示するものです。この違いは、発泡性ワインのラベルを作成するときに注意したいところです。
内容量とアルコール分を表示する
内容量は「750ml」など、定められた単位を用いて表示します。
アルコール分は、たとえば、「アルコール分 12%」と輸入者ラベルに表示できます。
一方、輸入ワインでは、輸出者が海外ラベルに表示しているアルコール度数を参照して、「アルコール分は表面ラベルに記載」などとする方法もあります。
ワインは、生産年やロットによってアルコール度数が変わることがあります。輸出者表示を参照する形にしておけば、度数が変わるたびに輸入者ラベルを作り直す必要がなく、同じラベルを継続して使用しやすくなります。
アルコール分を含め、オーダー後に確認しておきたい項目については、こちらの記事でも紹介しています。

輸入ワインには原産国名を表示する
フランスを原産国とするワインであれば、「原産国名 フランス」などと表示します。
一方、国内で造られるワインについては、「日本ワイン」の表示や、産地・ぶどう品種・収穫年などについて別の表示ルールが定められています。
日本ワインのラベル表示については、こちらの記事で詳しく整理しています。

添加物は商品ごとに確認して表示する
ワインに使用されている添加物についても、日本の食品表示基準に従った表示が必要です。
ワインに一般的に使用される添加物として、「酸化防止剤(亜硫酸塩)」があります。
商品によっては、「保存料(ソルビン酸)」などの表示が必要になることもあります。
輸出者のラベルや成分分析表などを確認し、日本で表示が必要となる添加物を確認します。
輸入者の所在地と「引取先」を確認する
輸入ワインでは、輸入者の氏名または名称と住所のほか、「引取先」も確認します。
引取先として表示するのは、酒類販売業免許証(通知書)に記載されている「販売場の位置」です。
輸入者の住所と、酒類販売業免許を受けている販売場の所在地が同じとは限りません。輸入者ラベルを作成する際には、酒類販売業免許の内容との照合も必要です。
輸入者の住所と引取先が同じ場合には、「輸入者及び引取先 ○○株式会社 神奈川県横浜市……」などとまとめて表示することもできます。
酒類は栄養成分表示を省略できる
一般の加工食品では、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量などの栄養成分表示が原則として義務付けられていますが、酒類は食品表示基準により、栄養成分表示を省略することができます。
そのため、通常の輸入ワインでは栄養成分表示を設けないケースが一般的です。
任意に栄養成分表示を行う場合には、食品表示基準に沿った表示が必要になります。
「オーガニック」「有機」と表示する場合
海外でオーガニック認証を受けたワインを輸入する場合には、日本で使用する表示についても確認が必要です。
2025年10月以降、日本国内で「有機」「オーガニック」などと表示して販売する酒類については、有機JAS制度への対応が必要となっています。
海外の認証表示があることだけで判断せず、日本でどのような表示ができるかを確認しておく必要があります。
詳しくはこちらの記事で整理しています。

文字サイズは表示事項ごとに確認する
輸入者ラベルを作成するときは、文字の大きさにも注意が必要です。
表示義務事項は原則として8ポイント以上ですが、「酒類の品目」と20歳未満の者の飲酒防止に関する表示には、それぞれ別の基準があります。
特に品目は、通常の表示事項より大きな文字で表示する必要があります。
たとえば750mlのワインでは、「果実酒」は14ポイント以上で表示します。
限られたラベル面で「果実酒」だけが少し大きく表示されていることがありますが、これは品目について、内容量と文字数に応じた別の文字サイズ基準が定められているためです。
文字サイズを含む詳しい表示方法は、国税庁の「酒類の表示方法チェックシート」でも確認できます。
ラベル案を作成したら「表示方法届出書」を提出する
輸入者ラベルの表示内容が決まったら、輸入酒類の「表示方法届出書」を提出します。
届出先は、酒類を引き取る保税地域を管轄する税関です。
書面で提出する場合には、「表示方法届出書」と別紙「表示方法」を作成し、酒類販売業免許証(または通知書)の写しとともに提出します。
別紙には、実際にボトルへ貼付する表示証を原寸大で示し、どこに表示するかも分かるようにします。
提出方法は届出先の税関によって異なる場合があるため、事前に案内を確認しておくとよいでしょう。
確認済みの表示方法は継続して使用できる
確認を受けた表示方法届出書は、内容に変更がなければ全国の税関で有効です。
同じ表示方法で継続して輸入する商品であれば、輸入のたびに同じ届出を繰り返す必要はありません。
一方、ラベルの表示内容を変更するときには、変更内容によって改めて届出が必要になる場合があります。
同じ図柄のままアルコール分や内容量を変更する場合など、一定の変更については改めて届出を要しない取扱いもあります。
ラベルを変更する際には、変更箇所を確認したうえで、再届出が必要かどうかを確認します。
発泡性ワインでは、さらに確認事項が増える
ここまで、一般的なスティルワインを例に輸入者ラベルを見てきました。
スパークリングワインや微発泡ワインでは、アルコール分とガス圧が酒税上の取扱いや表示に関係します。
さらに輸入ワインの場合には、関税分類にもガス圧の基準があります。つまり、酒税と関税では「発泡性」を判断する基準が同じではありません。
2026年10月1日からは、発泡性ワインについてアルコール分11度未満かどうかが、酒税上の重要な境界になります。
11度前後の商品では、生産年やロットによるアルコール分の変動にも注意が必要です。
ガス圧についても、必要な分析値が確認できるかを輸入前に確認しておきます。
発泡性ワインの酒税・表示・関税の違いについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

まとめ: 輸入者ラベルは、輸入準備の一つとして進める
輸入ワインの輸入者ラベルには、酒類の表示、食品表示、税関への届出など、いくつかの制度が関係します。
実務では、商品をオーダーしてから船が日本に到着するまでの間に、通関や食品等輸入届出の準備と並行して、輸入者ラベルの内容も確認していきます。
基本となる表示事項に加え、オーガニックワインや発泡性ワインなど、商品によって追加で確認する事項もあります。
輸入者ラベルは、商品が日本に到着してから考えるものではなく、輸入準備の段階から確認しておきたい項目の一つです。
特に初めて取り扱う商品では、表示内容だけでなく、税関への届出まで見通して準備しておくと、その後の輸入手続も進めやすくなります。
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