【酒販免許】販売場と蔵置所は何が違う?―「販売する場所」と「保管する場所」の役割を整理

外部倉庫に保管と出荷を委託しているECワインショップ
目次

はじめに:販売するワインは、すべて販売場に置く必要がある?

「酒販免許を取った場所に、販売するワインをすべて置いておかなければならないの?」

EC販売などを考えている方の中には、そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。

実は、販売場とは別の場所に商品を保管することもできます。

そこで登場するのが「蔵置所」です。

今回は、少し分かりにくい「販売場」と「蔵置所」の違いを、実際の商品の流れも見ながら整理してみます。

まずは「販売場」と「蔵置所」の違いを整理

「販売場」と「蔵置所」の比較表

販売場蔵置所
イメージ販売の拠点在庫・物流の拠点
手続酒販免許を受ける設置を税務署へ報告する
注文を受ける×
仕入れを行う×
商品を入荷・保管する
商品を発送する※販売場からの指示による

販売場 = 販売の拠点
蔵置所 = 在庫・物流の拠点

まずはこのイメージで読み進めてください。

大切なのは、「免許を受ける場所」と「商品を保管する場所」は、必ずしも同じでなくてよいということです。

蔵置所を設けるときの手続は?

手続きの流れ

販売場を決める

酒類販売業免許を申請

酒販免許を取得

別の場所に商品を保管したい

蔵置所の設置を税務署へ報告

利用開始

蔵置所について、もう一つ酒販免許を取得するわけではありません。

すでに酒類販売業免許を受けている事業者が、販売場とは別の場所に販売用の酒類を保管するときに、蔵置所として設置を報告します。

「酒類蔵置所設置・廃止報告書」には何を書く?

蔵置所を設ける場合には、利用を始める前に「酒類蔵置所設置・廃止報告書」を提出します。

報告書には、主に次のような内容を記載します。

  • 蔵置所を利用する販売場の所在地・名称
  • 蔵置所の所在地・名称
  • 設置年月日・設置期間
  • 保管する酒類の範囲
  • 蔵置能力
  • 販売場から蔵置所までの距離・所要時間
  • 蔵置所を設ける目的
  • 酒類の管理方法

提出先は、原則として蔵置所を利用する販売場の所在地を所轄する税務署です。

販売場と蔵置所の所轄税務署が異なる場合には、蔵置所の所在地を所轄する税務署に提出することもできます。

また、一つの蔵置所を自社の複数の販売場で利用する場合には、「蔵置所を設置する又は廃止した製造場又は販売場の一覧」を添付します。

なお、蔵置所の設置について新たな酒販免許を受けるわけではなく、登録免許税もかかりません。

蔵置所を使わなくなった場合にも、同じ報告書で廃止の手続きを行います。

設置時から利用期間が決まっており、報告書にその期間を記載している場合には、期間満了時に改めて廃止報告書を提出する必要はありません。

蔵置所設置報告について、国税庁が公表している手続案内では、倉庫使用契約書や図面などは一律の添付書類とはされていません。ただし、実務上は提出を求められることもあるため、事前に管轄税務署へ確認しておくとよいでしょう。

蔵置所は「酒類を置くだけの場所」ではない

ここが少し意外なところです。

国税庁の通達では、販売場からの指示に基づいて消費者等へ配送するための作業場所(配送センター等)も、蔵置所に含まれるとされています。

つまり、

販売場から出荷指示

商品をピッキング

梱包

お客様へ発送

という物流作業を行うこともできます。

一方で、蔵置所は販売の拠点ではないため、そこで販売契約を締結したり、販売代金を受領して商品を引き渡したりすることはできません。

注文を受けたり、仕入れを行ったりするのは販売場。
蔵置所は、販売場からの指示を受けて商品を保管・出荷する場所と考えると分かりやすいでしょう。

EC+外部倉庫なら、商品はこう動く

たとえば、自宅や小さな事務所でワインECを運営し、商品を外部倉庫に保管しているケースを考えてみます。

商品の流れ

ECサイトで注文

販売側で注文を管理

外部倉庫へ出荷指示

倉庫でピッキング・梱包

倉庫からお客様へ発送

この場合、商品そのものが販売場を経由しないこともあります。

それでも、販売を行う場所と、在庫を保管・出荷する場所の役割は分かれています。

外部倉庫を利用するときの注意点

外部倉庫を利用する場合には、倉庫業者との契約により、自社の商品が他の荷主の商品と区別して管理され、記帳等によって特定できることが必要です。

また、販売場と蔵置所の双方で、酒類の受払いを常時把握できるようにしておく必要があります。

そしてもう一つ、実際の事業では重要な問題があります。

制度上、外部倉庫を利用できることと、自分の事業に合った倉庫が見つかることは別です。

特にワインの場合には、温度管理のほか、小規模な荷主を受け入れているか、1本・数本単位の出荷に対応しているか、個人宅への配送まで委託できるかなども確認する必要があります。

外部倉庫を利用する予定がある場合には、事業を始める段階から早めに探しておくとよいでしょう。

まとめ:「どこで売るか」と「どこから出荷するか」を分けて考える

酒販免許を考えるとき、「販売場=商品が置いてある場所」と考えてしまいがちですが、必ずしもそうではありません。

販売を行う場所と、商品を保管・出荷する場所を分けることもできます。

その場合には、

どこを販売場として免許を受けるのか

そして、

商品をどこに保管し、どこから出荷するのか

を分けて考えてみましょう。

この二つを整理すると、「販売場」と「蔵置所」の違いも理解しやすくなります。


酒販免許の種類や取得要件について知りたい方はこちら

酒類販売を始めたい方に向けて、酒販免許の種類や選び方、取得要件、申請手続きなどを分かりやすく解説しています。


酒類販売業免許の申請では、必要書類の収集や申請書類の作成に加え、販売場や事業計画など、申請内容に応じた準備が必要です。

当事務所では、ワインの輸入・流通に携わってきた行政書士が、販売方法や仕入れ、物流などを伺いながら、実際の事業を見据えた免許申請をサポートします。申請を準備する過程が、これから始める事業を整理する機会になるよう、一緒に考えていきます。


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この記事を書いた人

横浜の酒類販売業免許専門の行政書士。
「桜並木行政書士オフィス」を運営。
20年以上にわたり、ワインインポーターで輸入貿易実務や販促・企画業務などを経験。現場経験と法律の両面からワインビジネスをサポートします。

■保有資格
J.S.A.ソムリエ
WSET® Level 3 Award in Wines

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