【ワイン輸入シリーズ⑧ 】輸入ワインの検品とは? ― 入荷時に確認すべきポイント ―

倉庫でワインの検品中
目次

はじめに:ワインが無事に倉庫に入っても、まだ気は抜けません

シリーズ第7回 では、輸送・通関・食品等輸入届出と、発注した商品が倉庫に届くまでの流れをご紹介しました。

今回は、日本に到着したワインが保税倉庫に搬入された後に行われる、検品や日本語ラベル貼付の実務についてご紹介します。

ワインは日本に到着しても、すぐに国内で販売できるわけではありません。保税地域から引き取るまでに、発注どおりの商品が届いたかを確認し、法令で定められた日本語ラベル表示を備える必要があります。

また、万一届いた商品になんらかの瑕疵(かし)があり、それを見落としたまま出荷してしまうと、お客様からのクレームにつながるだけでなく、流通過程のどこで問題が生じたかを把握できず、輸出者への対応依頼や求償もできなくなってしまいます。

入荷直後の検品は、そうしたリスクを未然に防ぐための、地味ながら欠かせない工程です。

輸入ワインの検品で確認する4つのポイント

検品のポイントは、大きく分けて4つあります。

  1. 発注どおりの商品が届いたかの照合
  2. ワインの状態を確認する外観チェック
  3. 日本語ラベルの貼付
  4. 記録の保全と仕分け

順にみていきましょう。

発注内容の照合

商品の倉庫への入庫に際しては、事前にインボイス記載の内容に基づき、在庫管理システムの商品マスターへ次の情報を登録しておきます。

  • 商品名(ワイン名)
  • 産地(AOC/DOC等)
  • タイプ(赤・白・ロゼ・泡など)
  • ヴィンテージ
  • アルコール度数
  • クロージャーの種類(コルク/スクリュー)
  • 入数・ケース数

まずは、これらが発注内容どおりに届いたかを確認します。
登録と異なる商品が入荷した場合は、検品シートに記載します。

まれに、内容自体はすべて合っていても、生産者から事前に聞いていたものと異なるデザインのラベルで届き、お客様の手元に渡ってから「案内で聞いていたものと違うラベルだった」と指摘を受けるケースもあります。

こうした事態を避けるためにも、検品時にケース外装、ボトル正面、ボトル背面がわかる画像を撮っておき、輸入担当者がその都度確認する仕組みにしておくと安心です。倉庫担当者だけでは気づきにくい違いにも、いち早く対応できます。

さらに、この画像をもとに、ラベルに表記されている有機JASマークやワインコンクールの受賞マークなどの情報を商品マスターに登録しておくと、後の販促の場面でも役立ちます

商品・ワインの状態確認

あわせて確認するのが、商品そのものの状態です。代表的なチェック項目は次のとおりです。

確認箇所チェックポイント
ケース破損・濡れ・潰れ
ラベル汚れ・破れ・ズレ・カビ
キャップシールへこみ・傷・破れ
クロージャー浮き・沈み・漏れ
液面明らかな液面低下

ラベルの汚れや破れ、箱の潰れなどは、ワインの中身そのものに問題があるわけではありません。

そのため数量にもよりますが、ラベルだけを取り寄せて日本国内で貼り替えたり、ラベル不良品として価格条件を見直したうえで販売したりすることもあります。

外装だけでなく、ワインの中身についても、外観から次の点を確認します。

  • 色調
  • 濁り
  • 浮遊物
  • 漏れ

例えば、白ワインで一部のボトルだけ明らかに色調が濃くなっている場合は、酸化の可能性も考えられるため、他のボトルとは分けて管理します。

酒石や澱は、ワイン自体の品質異常ではありませんが、納品先によっては問い合わせが入ることもあるため、該当ボトルは別の箱に仕分けておき、営業担当や販売員が直接説明して販売できる状態にしておくといいでしょう。いずれにしても、酒石や澱の発生状況を把握できるようにしておくことが大切です。

また、自然派ワインなどで、澱引きせずに瓶詰めするタイプのワインについては、検品依頼時にその特性をあらかじめ伝えておくことも大切です。

問題があると思われるボトルには、その都度シールなどを貼って別の箱に仕分けます。瑕疵の状態は、現物と検品シートの両方で確認できるようにしておきます。

ワインを多く取り扱う倉庫会社では、こうした検品に慣れたスタッフが対応していることも少なくありません。事前にどこまで仕分け対象とするかを打ち合わせしておくことをおすすめします。

日本語ラベルの貼付(法定表示)

日本語ラベルの対応は、発注数量によって、大きく「倉庫で貼る場合」と「海外の生産者に対応してもらう場合」に分かれます。

コンテナ単位でまとまった数量を発注する場合などは、生産者によっては、発注段階で現地にて日本語ラベルの表示に対応してくれるケースもあります。

ただし、本コラムは「はじめてのワイン輸入」をテーマにしているため、輸入後に日本国内の倉庫で対応する場合でご説明します。

倉庫会社には、商品アイテムごとに貼付すべきラベルを指示します。

ラベルの種類が複数に分かれる場合は、その振り分けも含めて指示書とともにラベルを渡しておきます。
倉庫会社は、①②の検品作業とあわせて、このラベル貼付作業を行っていきます。

貼付位置など細かな指定がある場合も、あわせて指示書に明記しておくとよいでしょう。

問題があった場合の対応と記録の保全

検品では、問題のない商品は通常品として保管し、何らかの問題が見つかった商品は、その内容に応じて仕分けを行います。

検品の結果、問題が確認された商品は、「B品」として仕分け・管理することが一般的です。
ちなみに、「B品」とは、ラベルの汚れや箱の破損などにより、通常品とは区別して管理・販売する商品のことです。

その仕分け基準やその後の処理はインポーターにより判断が分かれるところです。

初回輸入の場合は、次のようなことを念頭に置いておくとよいでしょう。

  • 問題の見つかった商品を「B品」として扱うか
  • そのB品を、状態に応じてレベル分けして販売するか
  • 生産者へ報告するか

商品を区分する場合、検品には倉庫会社など、自社以外のスタッフが関わることもあるため、あらかじめ次のような仕分け基準を設けておくと、その都度、判断がぶれずに済みます。

例えば、次のような基準です。

  • B1:説明付き販売可:少量の酒石や澱
  • B2:値引き販売、営業時のサンプル使用など:ラベル不良、軽い液面低下、キャップ不良
  • C:販売不可・仕入先交渉対象:酸化、大量のラベル不良など

輸送中の事故などで保険求償が問題となる場合は、倉庫会社がデバニング時からの状況を写真に記録しているケースが一般的なので、その記録をもとに保険会社へ連絡します。

一方、生産者側に起因する問題で、内容が軽微でない場合は、画像や検品報告書とともに生産者へ連絡し、対応を協議します。問題の内容や状況に応じて、改善策を講じてもらったり、次回オーダー時に該当分を補償してもらったりする場合もあり、その落としどころは生産者との協議次第です。

いずれのケースでも、写真や記録を残して早めに連絡することが、スムーズな対応につながります。

まとめ:検品は、品質と信頼を支える重要な工程

ワインの検品は、単に不良品を見つけるための作業ではありません。

自社が扱う輸入品の品質を守り、生産者との信頼関係を維持するとともに、次回以降の品質改善へつなげる重要な工程です。


ワイン輸入実務ガイド

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この記事を書いた人

横浜の酒類販売業免許専門の行政書士。
「桜並木行政書士オフィス」を運営。
20年以上にわたり、ワインインポーターで輸入貿易実務や販促・企画業務など幅広く経験し、その現場経験を活かして、ワインビジネスを実務と法律の両面からサポートします。

■保有資格
J.S.A.ソムリエ
WSET® Level 3 Award in Wines

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